無料のWebツールだけで、小規模な会社でも「ちゃんとした公式サイト」を作る方法:
ある非エンジニア創業者の完全実録ストーリー
これは「コードの書き方」を教える記事ではありません。 「ほぼコストゼロ+AI+無料ツールを使って、どうやって自社の公式サイト+ブログ+問い合わせフォームを構築したか」 という私の復習記録です。 技術的な背景は不要です。必要なのは少しの忍耐と好奇心だけ。

目次
- 多くの小規模企業が抱える共通の悩み
- 実は不要だったもの
- 現代の無料ツールセットで完全な公式サイトを組む
- 公式サイトはどうあるべきかを先に考える
- どうやって実際に動くサイトにするか?
- 問い合わせフォームを真の集客口にする
- AIの役割:あなたを拡張する
- ゼロから始めるための手順
- 起業中で、まだ公式サイトを作れていないあなたへ
1. 多くの小規模企業が抱える共通の悩み:
「公式サイトが必要なのはわかっているけど、どこから手をつければいいかわからない」
多くの創業者が、必ずと言っていいほどこの段階を経験します:
- クライアントから「公式サイトはありますか?URLを送ってください」と言われる
- 手元にあるのはPPT、Notionのリンク、あるいは散らばった資料だけ
- 「ちゃんとしたサイトが必要だ」とはわかっているが、いざ作ろうとすると疑問だらけになる:
外注すべき? サーバーを買う必要がある? エンジニアを雇わないといけない? 費用が膨らみすぎないか? うちのような小さな会社で、そこまでやる価値はあるのか?
私も最初は同じでした。
私が欲しかったものは実はシンプルでした:
- プロフェッショナルで清潔感のあるトップページ
- ちょっとした情報発信ができる場所(ブログ/インサイト)
- ちゃんと「顧客からの連絡が届く」問い合わせフォーム
- これら全てが、高額なSaaSの管理画面に縛られず、自分の手元にあること
聞くだけなら簡単そうですが、「従来のルート」で行こうとすると、途端に重荷になります:
- 制作会社に外注すると、プロセスが複雑で費用も安くない
- 自分でWordPressを立ち上げるには、サーバー契約、プラグイン導入、セキュリティ管理が必要
- 「誰でも簡単」なWeb作成ツールを使うと、カスタマイズ性が低く、すぐに有料プランの壁にぶつかる
その後、私は全く異なるルートを見つけました: 「ネット上に既に存在する無料ツールを、レゴブロックのように組み合わせて公式サイトを作る」 という方法です。
2. 最初は必要だと思っていたけど、実は不要だったもの
最初はこれらが必須だと思っていました:
- サーバー(クラウドホスティングなど)
- 複雑なCMS(サイト管理システム)
- 自分でデータベースを構築すること
- 各種「プロ用管理画面」
- さらにはセキュリティ強化やバックアップ作業……
しかし実際にやってみて気づきました:
B2Bの小規模企業にとって、これらはすべて「過剰設計(オーバースペック)」です。 本当に必要なのは、あなたの価値を明確に伝えるトップページと、信頼できる「連絡窓口」、そして少しの日常的な発信だけです。
正しいツールを選べば、実はこれらが実現できます:
- サーバー購入不要
- データベース管理不要
- メールサーバー設定不要
- フロントエンドの専門知識不要
- さらに AIがコード作成、レイアウト調整、デプロイまで手伝ってくれる
そこで私は、自分の「サイト構築戦略」を再設計し始めました。
3. 新ルート:「現代の無料ツールセット」で完全な公式サイトを組む
最終的に私が選んだ「レゴブロック」の組み合わせはこれです:
- GitHub:コードとファイルの「家」。サイトの全履歴を記録します。
- Cloudflare Pages:サイトを世界中に公開してくれます。「無料の静的サイトホスティング+CDN」のようなものです。
- 静的サイトフレームワーク(例:Astro):ページ構造を整理し、コンテンツ型サイト(公式サイト+ブログ)に最適です。
- Cloudflare Turnstile:従来の認証コードに代わり、問い合わせフォームをボットから守ります。
- Resend:メール送信専用サービス。問い合わせがあるたびに通知メールを送ってくれます。
- Cloudflare D1:軽量データベース。「誰が問い合わせてきたか」を記録するために使います。
- AIアシスタント(ChatGPT / Claudeなど):ページ作成、レイアウト修正、そしてこれら全てのツールを繋ぐ作業を手伝ってくれます。

コードを全く書かないとしても、これらのツールが「何をするものか」だけ理解しておけば十分です:
- GitHub:修正履歴を残せる「バージョンのノート」
- Cloudflare Pages:無料で世界中からアクセスできる「Webサーバー」
- Turnstile:ボットを追い払う「礼儀正しいドアマン」
- Resend:プロフェッショナルな「郵便局」
- D1:小さくて軽い「顧客台帳」
- AI:あなたの指示で動く「パートタイムの技術パートナー」
4. 技術の話は後回し。「公式サイトはどうあるべきか」を先に考える
実際にサイトを作る前に、私は重要な決断をしました: 技術スタックのことは一旦忘れ、「公式サイトのコンテンツ構造」を明確にする。
小規模ながら質の高い企業にとって、最終的にたどり着いた構成はこうです:
-
Heroセクション(ファーストビュー) 一言で説明する:あなたは誰?誰を助ける?どんな問題を解決する? これが顧客がサイトを開いた時の第一印象であり、コンバージョン率の核心です。
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Services / 事業内容 3〜4つのモジュールで、提供サービスを明確に記述します。売り込みすぎず、 信頼できるアドバイザーが自分の仕事範囲を丁寧に説明するようなトーンで。
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Why Us / 選ばれる理由 小規模企業ならではの強みを書きます:
- 例:「小回りが利く」「柔軟性」「異文化理解」「特定業界への深い知識」など。
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Cases / 実績紹介(2〜3個でもOK) 長く書く必要はありませんが、リアルで情景が浮かぶように。 「本当に仕事をしてきたんだな」と感じさせることが重要です。
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News / お知らせ シンプルで構いません:
- 新サービス開始
- イベント登壇
- 業界レポート公開 会社が「生きている」ことを示します。
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Insights / Blog / 記事 あなたの視点や業界への洞察を発信する場所。 潜在顧客にとって、あなたが「専門家」であると認識させる重要な部分です。
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Contact / お問い合わせ(フォーム付き) 最も重要なパーツ。 単なるメールアドレスの記載ではなく、ちゃんとした入力フォームを用意します。 会社名、氏名、メール、相談内容を直接入力してもらい、 それら全ての情報をデータとして保存します。メールボックスに眠らせておくだけではいけません。
これらのブロックを書き出した時点で、実は公式サイト作成の最難関は突破しています: 「自分は何者か」「何をしているか」「なぜ選ばれるべきか」が明確になったからです。
あとは、「ツールを使ってこれらをどう表現するか」という問題だけです。
5. このツールセットで、どうやって実際に動くサイトにするか?
ここからは、できるだけ「非技術的」な言葉で全体の流れを説明します。これを「ロードマップ」として使ってください。
1. GitHub:コンテンツと構造の「中央倉庫」
GitHubはオンライン上の「バージョン管理ノート」だと考えてください:
- サイト関連の全ファイル(テキスト、レイアウト、設定)をここに置きます。
- 修正するたびに、ノートに新しいページを追加し、日時のタグを付けるようなものです。
- もし間違えても、いつでも過去のバージョンに戻せます。
GitHubがあれば、以下のものが手に入ります:
- サイトデータを絶対に失わない保管場所
- AIにコード修正を依頼できる作業場
- 明確な「成長の軌跡」:初期バージョンから、徐々に安定していく過程が見えます。
2. Cloudflare Pages:サイトを実際に「オンライン」にする
次にやることは一つだけ:
Cloudflare Pagesにこう伝えます:「私のサイトのコードはGitHubのこの倉庫にあります」

すると、あとは勝手にやってくれます:
- GitHubで修正を確定するたびに、自動でサイトを再構築
- 最新バージョンをインターネット上に公開
- HTTPS(ブラウザの鍵マーク)を自動設定
- CDNを使って自動で高速化し、世界中どこからでも快適にアクセス可能に
あなたにとっての意味は:
- サーバーを買う必要なし
- 自分でデプロイ作業をする必要なし
- 「サーバー」という言葉の意味さえ知らなくていい
覚えておくべきは一言だけ: 「修正してGitHubにプッシュすれば、Cloudflareが公開してくれる」
3. ブログ:公式サイトを「コンテンツ資産」の入り口にする
小規模企業の公式サイトにおける最大の誤解は:
公式サイトをただの「オンライン名刺」だと思い込み、「信頼とコンテンツの器」として扱わないこと。
サイトにシンプルな「記事一覧」を追加しましょう:
- 業界観察を書く
- プロジェクトでの経験を記録する
- 顧客からよくある質問に答える
これにはいくつかのメリットがあります:
- 独自の「コンテンツ資産」が蓄積されていく
- 検索経由で記事を読んだ潜在顧客が、あなたを知るきっかけになる
- 既存顧客も、記事を通じてあなたの継続的な進化を感じ取れる
技術的には非常にシンプルです。AIにこう頼むだけです:
「シンプルなブログ一覧ページと記事詳細ページを作って。 新しい記事を追加できて、日付、タイトル、本文が表示されれば十分です。」
この時点で、サイトは単なる「静的な名刺」ではなく、対外的な発信とコミュニケーションの主戦場になります。
6. 「問い合わせフォーム」を飾りにせず、真の集客口にする
ほとんどの公式サイトに「Contact」ページがありますが、多くは残念な状態です:
- ただメールアドレスが書いてあるだけ
- フォームに入力しても、どこに届いたかわからない
- スパムボットからの投稿ばかりで、体験が最悪
私が自分のサイトで実現したかったのは:
- 訪問者がフォームに入力する
- 即座に私に通知メールが届く
- 同時に、その情報がリード(見込み客)データとして保存され、 後で追跡・分析ができる
つまりこういうことです:
「本当に使える問い合わせフォーム」 ≒ 「簡易版の顧客獲得システム」
これを実現するために、3つの「レゴブロック」を使いました:
1. Turnstile:スパムを防ぐ「見えない門番」
問い合わせフォームは、ボットに悪用されやすい場所です:
- スクリプトが広告やフィッシングリンクを大量に投稿してくる
- 対策しないと、毎日メールボックスがゴミで溢れかえる
従来の認証コード(信号機を選べ、横断歩道を選べ…)はユーザー体験を損ないます。 Turnstileの良いところは:
- ユーザーが変な画像を選ぶ必要がない
- 検証はバックグラウンドで静かに行われる
- 本物の人間にはほぼ「透明」だが、ボットには厳しい

2. Resend:フォーム送信を「通知メール」に変える
訪問者がフォームを送信した後、私が欲しい結果はシンプルです:
- すぐにメールを受け取る:
- 件名:会社名 / 氏名
- 本文:会社、担当者、メール、電話、相談内容
- そのまま「返信」ボタンを押せば、顧客とやり取りが始められる
Resendは「送信機能」を代行してくれるサービスのようなものです:
- 自分でメールサーバーを建てる必要なし
- メールプロトコルを気にする必要なし
- SPFやDKIMなどの専門用語を調べる必要なし
- 「新しいフォーム送信があったら、私のアドレスにメールして」と設定するだけ

これで、あなたのサイトは「静かな置物」から、 自動であなたに挨拶してくれる集客の入り口に変わります。
3. D1:全ての訪問者を「顧客台帳」に残す
メールは届きますが、もし:
- 忙しくて見逃したら?
- 過去1ヶ月に何件問い合わせがあったか集計したくなったら?
- トップページ経由か、記事経由かを知りたくなったら?
メールボックスだけで管理するのは困難です。
そこで、全てのリード情報を構造化して記録する場所が必要です。 D1がその役割を果たします:
- 全ての「問い合わせ送信」が1行のレコードになる
- 記録内容:流入元、氏名、メール、会社、相談内容、時間、付加情報(ブラウザの種類など)
- いつでも過去のリード状況を確認できる:
- 数の推移
- 業界タイプ
- どのチャネルからの流入が多いか
つまり:
サイトに簡易版の「CRM(顧客管理)テーブル」が内蔵されている状態。 メール検索やExcel転記の手間から解放されます。
7. AIの役割:あなたの代わりではなく、「あなたを拡張する」
この全プロセスにおいて、AIの役割は非常に重要ですが、それは 「人間の代わり」ではなく、あなたに一瞬で技術チームを持たせること です。
あなたが全ての詳細を考える必要はありません。やるべきことは:
-
何が欲しいかを明確にする:
- どんな雰囲気のトップページ?
- どんな構成要素が必要?
- フォームで何を聞きたい?
- データはどこに保存する?
- 送信後にどんな通知が欲しい?
-
それらの要望を自然言語でAIに伝え、手伝ってもらう:
- ページ構造の生成
- レイアウト調整
- 配色とフォントの提案
- Turnstile / Resend / D1 を接続するロジックの作成
- デプロイ手順とファイル構造のアドバイス
-
あなたの仕事は「コードを書くこと」から変わります:
- プロダクトマネージャーとして:機能要件を決める
- デザイナーとして:スタイルを決める
- 編集者として:顧客に響く言葉を書く
- CEOとして:何をリリースし、何を後回しにするか決める
ある意味、このシステムは:
AI + 無料クラウドサービスを使って、自分専属の「仮想技術チーム」を配備した
と言えるでしょう。
8. もしゼロから始めるなら、この手順をおすすめします
今あなたに何もないとして、この記事を読み終わったところだと仮定します。私ならこの順序で進めることをお勧めします:
-
紙に公式サイトの構造を描く Hero / Services / Why Us / Cases / News / Insights / Contact を配置してみる。
-
各エリアの文章をざっくり書く(完璧な文章でなくていい) 重要なのは:あなたが誰で、何をしていて、何が得意で、頼むとどうなるかを明確にすること。
-
GitHubとCloudflareのアカウントを作る 技術知識は不要、画面の案内に従うだけです。
-
AIにサイトの骨組みを作ってもらう 例えばAIにこう伝えます:
「日本企業向けのコンサル/プロダクト/開発支援会社の公式サイトを作りたい。 レイアウトはXXのようなスタイルで。 小規模企業に適したサイト構造とHTML/レイアウトファイルを生成してください。」
そして、さっき書いた文章をAIに入れてもらいます。
-
AIが作ったファイルをGitHubに入れ、Cloudflare Pagesと接続する この瞬間、あなたは初めて「本当にオンラインにある公式サイト」を持つことになります。
-
次に、2つのことだけに集中する:トップページの磨き込み & Contactフォーム
- トップページで価値が伝わるようにする
- Contactフォームを使いやすくする(項目は適切か、威圧感はないか)
-
さらに一歩進んで、連絡先を「メール通知 + データベース保存」に繋ぐ ここはAIにロジックを書いてもらいましょう。 あなたの重点は:
- 送信後に何が起きてほしいか書き出す
- 毎回ちゃんとメールが届くか確認する
- データが保存されているか確認する
-
全てが動き出したら、ブログ、事例、ニュースを徐々に追加する コンテンツが増えるたび、サイトはより「真剣にビジネスをしている会社」らしくなっていきます。
9. 起業中で、まだ公式サイトを作れていないあなたへ
ここまで読んでくれたあなたに、心から伝えたいことがあります。
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あなたに足りないのは技術スタックではなく、「自分にもできると思えるルート」です。 多くの創業者は技術がわからないのではなく、「サイト制作」という言葉を過度に神格化してしまっているだけです。
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小規模企業の公式サイトは、大企業のように派手である必要はありません。 必要なのは:
- 清潔で、明確で、誠実であること
- 何をしているかが伝わること
- 簡単に連絡が取れること
- 今日の見込み客を逃さないこと
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一行もコードを書かなくても、今のツールとAIならあなたをスタートラインに立たせてくれます。 あなたがやるべきは:
- 自分のビジネスをストーリーで語れるようになること
- ツールに「何が欲しいか」をシンプルに伝えること
- 少しの忍耐と改善を続けること
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公式サイトの完成はゴールではなく、市場との対話のスタートです。 今後あなたが書くブログ記事、トップページの微修正、フォームの改善、 その全てが未来の顧客へのメッセージになります:
「私はこの会社を真剣に経営しており、あなたのための準備も真剣にしています。」
もしここまでたどり着いたなら、あなたと「プロフェッショナルな公式サイト」の間にあるのは、 実はたった一つの決断だけです:「手を動かし始めること」。
あとは、これらの無料ツールと、 いつでもコードとレイアウトを書いてくれるAI「技術パートナー」に任せてみてください。
なお、いまご覧になっているこのウェブサイト自体も、上記の方法を活用したAIコーディングアシスタントによって構築されています。